この例では、Claw GPS シミュレーターは GPS シミュレーターとして動作しますが,全18チャンネルの内6チャンネルまでをマルチパス信号の発生に使います.マルチパスを発生できるのは実際に視野に入っているSVに対してだけです.
マルチパス信号の生成を行うGPS シミュレーションは固定座標でも移動座標でもかまいません.
衛星は自動配置でかまいませんが,ある時点のGPS衛星の実際の配置を再現したい場合はその時点の衛星の軌道情報を RINEX フォーマットで CLAW に読み込ませます.RINEX フォーマットの軌道情報を CLAW に読み込ませる方法は「当日の衛星配置を正確に再現してシミュレーション」を参照下さい.
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マルチパスシミュレーションを実行するには次の2つのSCPIコマンドを使います.
6.3.43 SIMulation:SV:MULTIpath:MODE
シミュレーションを実行中のもっとも仰角の高い最大6つの衛星についてマルチパス信号を模擬することができます.マルチパス信号とはそのSVからの直接波のコピーに遅延と減衰を加えたものです. 遅延量と減衰量は下記のSCPIコマンド SIM:SV:MULTI:DELAY と SIM:SV:MULTI:ATTEN で与えます. マルチパスモードをONにすると,マルチパスに指定したSVの数だけ直接波のSVの数が減ります.
コマンド書式: SIMulation:SV:MULTIpath:MODE <ON | OFF>
例:SIM:SV:MULTI:MODE ON
このパラメータは不揮発性メモリーに保存され,次回電源ON時にも適用されます.
6.3.44 SIMulation:SV:MULTIpath
このコマンドは最大6つのマルチパス信号のチャンネルを設定します. それらチャンネル(SV)の PRN 番号と遅延量と減衰量を指定します.マルチパス信号はそのSVが実行中のシミュレーションで可視である場合にのみ有効になります.視野に入っているSVは,SIM:SV:VIEW? コマンドでリストできます.
コマンド書式: SIMulation:SV:MULTIpath <SV>,<PRN>,<DELAY>,<ATTEN>
例:SIM:SV:MULTI 1,24,200,6
ここで
<SV> はマルチパス信号を発生するチャンネル番号 (1から6)
<PRN> はマルチパス信号を発生するSVの PRN 番号 (0 から 32)
<DELAY> はマルチパス信号の遅延量(ナノ秒)
<ATTEN> はマルチパス信号の直接波に対する減衰量(dB)
もし <PRN> が 0 だとそのチャンネルは無効になりマルチパス信号は生成されません
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