1. 電源投入
約1分かけてユニットは初期化され,CDMA受信機は利用可能なPILOTチャンネル信号を探します.この時点では Stratum は16,Leap Indicator は11(3)であり,Tempusからの応答があってもクライエントの時刻が更新されることはありません.この時点ではSYNC LEDは点灯し続けています.シリアルコンソールが接続されているとブートメッセージが表示されます.
2. CDMA信号の捕捉
受信機が利用可能なPILOTチャンネル信号を見つけると,捕捉モードに入ります.SYNC LEDはゆっくり点滅をはじめ,ロックすると点滅が早くなります.この時点でPNOは確定し,タイミング情報を持つSYNCチャンネルへの同期に入り,数分以内に同期します.
3. CDMA信号にロック
発振器のディシプリンが始まり,発振器がフェーズロックするとLeap Indicator 00, Stratum 1 の時刻配信を始めます.SYNC LEDは毎秒一回短く点灯します.この周波数が記憶され,その後電源を再投入するとまずこの周波数にPILOTを見つけようとします.
4. CDMA信号の喪失
何らかの理由でCDMA信号が受信できなくなると,CDMA受信機は別の利用可能な信号を探し始めます.一方で,ディシプリンされた発振器により正確な時刻の配信は続きます(ホールドオーバー機能).標準装備のTCXOでは24時間まで Stratum 1 を維持できます.発振器オプションの選択により,自立的に正確な時刻を配信できる期間は最大140日まで延長できます.Stratum 1 を維持できる期間を過ぎてもCDMA信号にロックできない場合は,Stratum 16 となり,SYNC LEDは点灯し続け,ALARM LEDが点灯します.
5. 正確な時刻の保持
CDMA信号にロックしているか,CDMA信号を失っても発振器の精度により算出される期間(ホールドオーバー期間)は Stratum 1 が維持されます.この期間を過ぎると Leap Indicator 3(11), Stratum 16 となり,時刻の配給はできなくなります.その時点におけるクロックの予想精度はTFOM値から知ることができます.
ホールドオーバー期間は,使用されている発振器オプションの精度から誤差がUTCに対して10ms以内を維持できる期間と定義しています.ホールドオーバー期間は発振器の精度により異なります.
発振器の種類 | ホールドオーバー期間 |
標準 TCXO 発振器 | 24時間 |
OCXO 発振器オプション | 35日間 |
ルビジウム発振器オプション | 140日間 |
6. CDMA信号の再補足
再び信号を補足し,ロックすると,発振器のディシプリンが再び始まり,直ちに正確な時刻が配給されまじめます.ALARM LEDは消灯し,SYNC LEDは毎秒一回の短く点灯します.
すでにホールドオーバー期間を過ぎていた場合は,Leap Indicator 3(11), Stratum 16 からLeap Indicator 0(00), Stratum 1 に戻ります.
ホールドオーバー期間内であれば,Stratum 1 が維持され,CDMA信号に同期できしだいCDMA信号から得た時刻の配給が始まります.その際,内蔵発振器の累積誤差により10ms以下の時刻の飛びが生じますが,実用上,問題になることはありません.
以上
最終更新 2013年12月25日
株式会社 昌新 技術部
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